お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「もう子どもじゃないのに、なんか情けないよね」 笑っていたいのに、負の感情に負けてしまいそう。 そんな気持ちを隠して乾いた笑いを零した私を、雨天様が「ひかり」と静かに呼んだ。 「目標がないことは、別に悪いことではない」 きっぱりと言い切られて、少しだけ戸惑った。 共感できないせいで、微妙な顔になっていたと思う。 だって、現実問題、私は来年に就活を控えた身。 夢や目標とまではいかなくても、自分自身のやりたいことくらいはわかっていなければ、就活にも影響するだろうから。 「だいたい、大きなものだけを目標と決めつけるのは、いささか浅はかだ。大きくたって小さくたって、自分が頑張るきっかけになるのなら目標であろう」 それでも、雨天様の声には素直に耳を傾けたくなる。 明確な理由を説明することはできないけれど、今日までの日々が自然とそうさせていたのかもしれない。 「たとえば、今日の仕事を頑張ろうと思うことだって、立派な目標だ。それを達成すれば、褒美に大福のひとつでも食えばよかろう」 「でも……普段はそれでよくても、夢とかちゃんとした目標がないとやっぱりダメだと思う。だって、ちゃんとした目標とかがないと、将来のことなんて決められない気がするもん……」 日々の目標は簡単なものでもいいのかもしれないけれど、自分の将来を決めるのにはあまりにも心許ない。 納得できなくてため息を漏らすと、雨天様がフッと瞳を細めた。
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