お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「まぁよい。時にはそのような縁があってもよい、と思うことにしよう」 「お屋敷を守る神様がそんな感じでいいの?」 「……今回は特別だ」 「じゃあ、雨天様たちに会えた私は、他のお客様よりもラッキーだったのかもしれないね」 満面の笑みで言えば、雨天様が柔らかな面持ちで頷いた。 そして、私の頭をポンと撫でた。 「その笑顔を忘れるでないぞ。ひかりは笑っている方が可愛いからな」 なんだかキザな神様だ。 神様じゃなければうっかり恋に堕ちていたかもしれないけれど、私は照れ隠しで「善処する」とだけ返した。 「……ああ、傘をしまい忘れていたな」 私の気持ちを見透かすように笑った雨天様が、不意に視線を縁側に続く道へと遣った。 そこには、複数の傘が並べられていた。 「なんだ、コンの奴。全部干しているのか」 雨天様はひとり言のように言ってから、そちらに向かい、地面に置かれている傘を一本持った。 広げてある傘を畳むのを見て、私も同じように傘を手に取る。 微笑んだ雨天様に笑みを返し、ふたりで傘を片づけていった。
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