お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「まったく、なぜ今日に限って全部干したのだ」 「というか、どうしてこんなにあるの?」 「猪俣様は、和傘を作るのが趣味でな。よく手作りの傘を贈ってくれるのだ」 猪俣さんの意外な趣味の話を聞いて、思わず手にした傘をまじまじと見つめてしまった。 高級品にしか見えないそれは、趣味で作ったというのが信じられないくらいだった。 「使い切れないほどあるから、時々こうしてすべての傘を干しておくのだ」 色とりどりの和柄は、目を楽しませてくれる。 ザッと十本以上はあった和傘の最後の一本を閉じたあと、少し離れた場所にある傘が視界に入った。 もしかしたら、風に押されてしまったのかもしれない。 そんな風に考えた時、その一本だけ和傘じゃないことに気づいた。 「ん? ああ、あの傘まで出していたのか」 淡い水色に、白いスズラン。 どこかで見たような気がして、雨天様が手に取った傘から目が離せない。 「それって、子ども用の傘だよね?」 「ん? ああ、そのようだな。わけあって、たまたま私が預かることになったのだ」 ぶわりと、背筋が粟立つような感覚が全身に走る。 それを感じながら、ゆっくりと唇を動かした。
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