お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「今日まで本当にありがとうございました」 深々と頭を下げ、はっきりとした声音で言葉を紡ぐ。 それから、いつもギンくんが座っている方を見た。 「ギンくん、毎日美味しいご飯やおやつを作ってくれて、本当にありがとうございました。私、ギンくんがお料理してる姿を見るのが楽しみだったんだ。これからも、お客様たちのために頑張ってね」 笑顔に感謝を込め、ギンくんの姿を想像すれば、いつものように笑ってくれているような気がした。 コンくんほど話す機会はなかったけれど、努力家のギンくんには感謝と励ましの言葉を伝えておきたかった。 「コンくん、毎日たくさん話せて本当に楽しかったよ。掃除も洗濯もお遣いも、コンくんと一緒にできてよかった。色々教えてくれて本当にありがとうございました。これからも、傷ついたお客様をここに導いてあげてね」 今度はコンくんがいる方を向いて、気持ちを言葉に変えた。 きっと、泣いているんだろうなと思って鼻の奥がツンと痛んだけれど、笑顔だけは崩さなかった。 そして、再び雨天様を見つめ、もう一度頭を下げる。 「雨天様、私をここに置いてくれて本当にありがとうございました。この二週間は、すごく目まぐるしくて、不思議で信じられないこともたくさんあったけど……。たくさんのことを得られたと思う」 雨天様は、私の言葉を真っ直ぐな双眸で受け止めてくれていた。
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