お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「寂しさも不安もまだ少しだけ残ってるけど、私はもう大丈夫だから。雨天様たちのことが見えなくなっても、ここでのことを忘れてしまっても、ちゃんと頑張れると思う」 大丈夫。 思っていたよりもずっと、ちゃんと笑えているから、きっと寂しさや不安に負けたりなんかしない。 「こんな風に思えるようになったのは、雨天様たちのおかげだよ。ここで過ごせて本当によかった」 そんな気持ちを持って告げた時、不思議と今までで一番明るい笑顔になれたような気がした。 すると、雨天様が深く頷いた。 「私も、ひかりと過ごす日々がとても楽しかった。ひかりが忘れてしまっても、私たちはずっとひかりを見守っている」 ありがとう、という言葉は声にできなかった。 口を開けば熱を持った喉が、先に嗚咽を漏らしてしまいそうだったから。 「さぁ、召し上がれ」 その代わりに笑みを崩さないように努めて背筋を伸ばすと、雨天様が穏やかな口調でそう言った。 いよいよこの時が来たんだと思うと躊躇しそうになったけれど、芽生えたそれを振り払って両手を合わせる。 「いただきます」 そして、いつものように言い、添えられた菓子楊枝を手に取った。
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