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「寂しさも不安もまだ少しだけ残ってるけど、私はもう大丈夫だから。雨天様たちのことが見えなくなっても、ここでのことを忘れてしまっても、ちゃんと頑張れると思う」
大丈夫。
思っていたよりもずっと、ちゃんと笑えているから、きっと寂しさや不安に負けたりなんかしない。
「こんな風に思えるようになったのは、雨天様たちのおかげだよ。ここで過ごせて本当によかった」
そんな気持ちを持って告げた時、不思議と今までで一番明るい笑顔になれたような気がした。
すると、雨天様が深く頷いた。
「私も、ひかりと過ごす日々がとても楽しかった。ひかりが忘れてしまっても、私たちはずっとひかりを見守っている」
ありがとう、という言葉は声にできなかった。
口を開けば熱を持った喉が、先に嗚咽を漏らしてしまいそうだったから。
「さぁ、召し上がれ」
その代わりに笑みを崩さないように努めて背筋を伸ばすと、雨天様が穏やかな口調でそう言った。
いよいよこの時が来たんだと思うと躊躇しそうになったけれど、芽生えたそれを振り払って両手を合わせる。
「いただきます」
そして、いつものように言い、添えられた菓子楊枝を手に取った。
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