お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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***** 優しい微睡みの中から、現実に向かっていく感覚。 重い瞼を開ければ、子どもの頃から慣れ親しんだ天井が視界に入って来た。 まだ意識は覚醒し切っていない感じがあるけれど、寝起き特有の気怠さはちっともない。 起き上がって伸びをすると、体がやけに軽いような気がした。 「うーん、よく寝た」 窓を開けて空を見上げると、どんよりとした曇り空が広がっている。 きっと、今日も雨だろう。 そんなことを考えながら再びグッと伸びた時、スマホが鳴り出した。 着信を知らせるそれを手に取ると、ディスプレイに表示されているのは【お父さん】という文字で、珍しく思いながら電話に出た。 「もしもし?」 『ああ、ひかり。金沢はどうだった?』 「え?」 『今日、家に戻るんだろう?』 え? そうだっけ? お父さんの言葉でスマホを耳から離し、カレンダーを表示させると、帰る日だということに気づいた。 『なんだ、寝惚けてるのか?』 無言でいる私を怪訝に思ったようで、お父さんは電話の向こうで『大丈夫か?』と心配そうにしている。
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