お品書き【五】 上生菓子 ~神様からの贈り物~

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「あれ? この傘って……」 今の私には明らかに小さいけれど、間違いなく見覚えがあった。 自分のものだと確信するまでに、三秒も必要なかったと思う。 青空のような色に、ちりばめられたスズランの花。 広げた小さなキャンバスを空に翳すようにすれば、まるで青空からスズランの花が降ってくるようだった。 「ここにあったんだ」 失くしたと思っていたのに、おばあちゃんが持っていたみたい。 それならそれで言ってくれればよかったのに、もしかしたらおばあちゃんも忘れていたんだろうか。 どちらにしても、帰る前に大切にしていた傘を見つけることができたのは嬉しい。 予想外の出来事に笑みを零し、ひとつ増えた荷物を大事に持ったままバス停に向かった。 新幹線の時間まではまだ余裕があるから、友達にお土産でも買おうかと思った時、目の前に停まったのは橋場町の方面に向かうバスだった。 それに構わずに横断歩道を渡って反対側のバス停に行くつもりだったのに、なんとなく足が向いてしまい、その城下町周遊バスに乗っていた。 どうせなら、おばあちゃんとよく行ったひがし茶屋街の景色を見てから帰るのも悪くない。 女子受けのいいお土産なら、あそこには色々とある。 水に浸したティッシュとバス停の手前でもらったチラシでスズランの花を包み、流れていく景色を見ながらおばあちゃんとの思い出を振り返っていた――。
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