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螺縁門を通って私は、後宮の真ん中に位置する鈴栄宮に来ていた。
ここは後宮の予算についてや、朝礼が行われる時に使う宮で、後宮の総勢100人弱が入る大きい建物だ。
私はそこの玉座に座っていた。
目の前には綺麗に着飾った宮男が立ち並んでいる。
うわぁ、、
100人弱って考えてたより多いな、、
「すぅーはー」
ゆっくり深呼吸をし、気持ちを整える。
これから私は皆に向けて挨拶をするのだ。
「それでは陛下よりお言葉を賜ります。」
ここにいる者達が一斉に頭を下げた。
最初が肝心だよね。いい印象を持って貰えるよう頑張らないと。
私は立ち上がった。
「陛下に拝謁致します。」
ここにいる者が一斉に頭を下げた。
私はなるべく穏やかになるよう心がけながら
「面をあげよ。」
皆が一斉に顔を上げた。
「皆、よく集まってくれました。改めて、私は霊蘭王国13代女王鴻鈴華です。私はここに居る者全員とゆっくりお互いについて知っていきたいと思っています。今日からここは皆の家となります。改善して欲しい点や、提案がある際は気軽に声をかけてください。それではこれからよろしく。」
パチパチ
宮全体から拍手が聞こえた。
私は再び玉座に座った。
ふぅ。とりあえず言えた…
緊張が解けて肩が軽くなった気がした。
そんな私の様子を見かねた部下が声を発した。
「それでは宮男の皆さんは各宮へお戻りください。各宮にてこれからの生活についてご説明いたします。それが終わり次第、冬宮の皆様は陛下をお迎えする準備をなさってください。」
部下の声を聞き、皆各宮へ戻っていった。
さて、ここでは少し後宮の仕組みについて説明したい。
ここは4つのグループで構成されている。
冬宮、春宮、夏宮、秋宮だ。
この4つをまとめて四季宮という。四季宮は入宮する時に星聖術で選ばれる。
各宮には四代四季と呼ばれる者がおり、四大四季は各宮の管理者という立場になる。四大四季は代々王が王国祭前の一ヶ月を使い選ぶこととなっており、その時最も寵愛が深く、管理者として任せられる人材が選ばれる。
四季宮での位は四大四季の下から○○の二、○○の三と続いて行く。
例で言うと春の二、春の三という感じだ。
今はまだ四大四季がいないので、家柄をもとに位が決められている。
四大四季の選定は本来一ヶ月で行われるが、今回は初めてなので二ヶ月を使い行われる。その初日が今日だ。
今日は冬宮に向かう予定だ。
冬宮には左大臣の息子、清凛がいる。
清凛とは幼馴染で、
「陛下、冬宮の準備が整ったようです。」
側に居た部下から声がかかった。
よし。行くか、、
私は冬宮に向かい始めた。
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