逢いたいが情、見たいが病

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逢いたいが情、見たいが病

 あー好きだなあ。  目の前で仕事をしている先生を盗み見てそう思う。  仕事してても良ければ、一緒にカフェに行こうかと誘われた。  会いたくてたまらなかったから、大人しくしてますと約束して連れて来てもらった。  仕事の邪魔をする訳にはいかないから、黙って友達に連絡を返したり、次の旅行先の下調べをしていると、何となく視線を感じて先生の方を見てみた。  こっちを見て何か考えているようだ。  首を傾げてみたが、何も言わないので、仕事の事でも考えてるんだろうと視線を手元に戻すと、  「つまんないね」  そう言われ、え?と反射的に顔をあげてしまう。  「全然大丈夫ですよ?調べ物してるし」  「俺がつまんない」  「え?」  「こっち来な?」  広いソファ席の荷物をどかして、隣においでと呼んでくれる。  嬉しくてすぐ立ち上がって隣に座った。  先生は、たまにあたしに話かけたり、手を握ったりしながら、きちんと仕事を終わらせた。
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