おにさん

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 子連れ単身赴任、5ヶ月になろうかという8月の終わり。  アパートの近くで、地域の夏祭りがあった。土曜日だから主人もこちらに来て、その日は泊まることになっていた。神社の近くの露店をめぐったり、小さな打ち上げ花火を楽しんだり。  ちびっこは、なぜか空の花火よりも池に映る花火に夢中。子供の感覚は面白いなと、しみじみ思った。  その時、「おにさん」のことも頭を掠めたけど、言わずにいた。  母子で疲れているなんて言われて、主人に心配されそうだから。  帰宅後、お祭りの余韻と家族揃った楽しさに眠りたくないちびっこ。  お腹すいたとか、トイレとかこちらが止められない事情を訴えて起きていようと必死。  あれ?何だかよく似た人がいたなあ。と旦那様をチラ見。  もう目は半分閉じかけているのに、最後の悪あがきはお水。  仕方ないので、三人で川の字で寝ていた寝室を出てリビングを通り、キッチンへ。  すると、今まであまり聞いたことがないようなちびっこの泣き声が響いた。
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