おにさん

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 ちびっこを布団に寝かせ、ちびっこを挟んで向かい合わせに小声で話し始めた。 「どう思う?」 「おそらく何かいるんだろう」 「私、何だか怖い」 「だけど、たぶん誰にも危害は加えないんじゃないかな?」 「どうして?今日は泣かせたんだよ」 「そうだけど、最後は笑顔でバイバイだったでしょう?」 「そうね」 「これは推論。『おにさん』はおそらく人間でいう大人ではない。」  「どうして?」 「今日は嫉妬したんだよ」 「え?何に?」 「いつも奥さんと二人でいるか、奥さんが手を離せないとき『おにさん』が遊んでくれたんでしょ?」 「そうね」 「今日は『おにさん』の出る幕がなかった。しかも、とっても楽しそうだから、少しだけ意地悪したくなったんじゃない?」 「何それ、可愛い!」  寝室の何かが「かたっ」と音を立てたから、私たちは顔を見合わせた。      主人が軽く頷く。 「いつもおにさんに助けてもらってるのに、僕は少し浮かれすぎたみたいだ。君たちはラッキーだよ。こんな出会いがあって」   ーーカタッ。 「そうね。私もあなたに言ってなかったけど、いつも本当に助かっていたの。あの子ったらおにさんが大好きで。追いかけっことかかくれんぼ、上手になったの」   ーーカタタッ 「3月までしかいられないけど、ここに住んで良かったね」   ーーカッタン。  その後、何の音もしなくなった。  二人でいつもなら起き出してお酒を飲むのがお楽しみだけど、この日はそのまま眠ることにした。  「おにさん」がいるから。
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