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今日も疲れた。
リビングの電気をつける。知らない男がリビングの真ん中で体育座りしていた。
「おかえり」
「…!?…あ、お疲れ様…です…?」
「驚いた?」
「あっ………はい…」
私はスーツから着替えるために部屋着を持って洗面所へ向かった。
誰だ?凄い当たり前の顔して居るけど。誰ですかって言うタイミング逃した感あるな。
着替えが終わると、私はテーブルにパソコンを置き、仕事をしながら買ってきたコンビニ弁当を食べる。彼はそれを横でじっと見てきた。
めっちゃ見てくる。
「食べます?」
「いや、いいよ」
「あ、はい」
私はそのまま食べ続けた。
…前にもこんなことがあったような。デジャヴか?
私が考え事をしていると彼は急にテレビをつけた。
『朝7時頃、地下鉄〇〇駅で△△☓☓さんが階段から転落し、現在も意識不明の重体です』
あれ、私だ。いやでも…?
『彼女をよく知る人物に聞いてみました』
『☓☓さんはね、仕事が遅くて残業泥棒なんて言われてましてね。重要な書類無くすわ、本当困った人でしたよ』
これ、私の上司だ。
『☓☓さん?あー昔友達だったけど、最近は連絡も寄越さないし、絶交だっつーの』
大学時代仲の良かった友達だ。…これ何?
『☓☓さんは…僕の言うことをまったく聞かない人でしたよ。ずっと忠告したのに、こんなことになって自業自得ですよ』
横にいる彼だ。彼がテレビで喋っている。
横の彼を見ると、泣きながらテレビをじっと見ていた。
『そう…本当…彼女は、責任感が強くて、僕が止めても仕事を優先して。上司に振り回されて、部下の仕事代わりにやって、ボロボロになっても、人に迷惑かけたくないって…。僕が、あの日、側にいて彼女を、どんな手を使ってでも会社に行かせなければ…こんなことにはならなかったのに』
テレビの彼は、声をあげて泣き出した。
私も涙が出てきたみたいだ。手で触ってみると、赤かった。
「あれ…?」
私は後ろに倒れた。
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