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たった一人だけ。
お祖父さんは私を孫娘だと思ってくれていたのだった。
「私、ここにいてもいいですか?」
「贅沢はできんぞ。それでもか?」
「はい。もともと贅沢な暮らしはしていませんでしたから、なにが贅沢なのかもわかりませんし」
「おかしな娘だ」
お祖父さんは私から顔を背けた。
窓の外には雪が降っているのが見えた。
そして、お祖父さんの少しだけ嬉しそうな顔も。
私がいて嬉しいとお祖父さんは思ってくれる。
そう思ってくれることが私には一番嬉しかった。
母のお荷物だった私。
父に厄介者扱いされる私。
そんな中でお祖父さんだけが違っていた。
だから、ここにいたい。
お祖父さんが生きている間、一緒に家族として過ごしたいと思ったのだった。
「町子さんに部屋を案内してもらえ。それから、なにか困ったことがあれば言いなさい」
「はい」
会釈をして部屋から出た。
部屋を出ると廊下に町子さんが待っていた。
「大旦那様から気に入られたようでよかった。これでひと安心だね」
「とてもいい方でしたよ」
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