私の居場所

12/19
前へ
/215ページ
次へ
それくらい広いお屋敷だった。 部屋の窓を開けると、すでに外は薄暗い。 雪の白さだけが明るく見えて、私は空を仰いだ。 一人になっても泣かずに済んだのはお祖父さんの存在だった。 私の唯一の血縁だと思えた人。 「ここにいても大丈夫」 そう呟いた声は誰にも聞こえることはなく、ただ冷たい空気の中に溶けていった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7035人が本棚に入れています
本棚に追加