白河財閥の王子様

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その後の冬休みはハワイにでかけて、なかなか帰ってこず、紗耶香さんは学校を数日お休みしていた。 私はと言えば、使用人の人達と一緒にすごし、お祖父さんの世話をしながら、受験勉強を始めていた。 本当は高校を卒業してから、働くつもりだったのだけど、お祖父さんが大学の学費を出してくれると言ったので、受験することに決めた。 春からは高校三年生になる。 「今日は暖かいな」 「そうですね」 お祖父さんの部屋で勉強をしていた私は椅子から立ち上がり、カーテンを少し閉めた。 雪も降らなくなった暖かな日。 窓から差し込む明るい日差しに春が近づいているのがわかった。 眩しい日差しがカーテンで遮られたからか、うとうととお祖父さんが微睡んでいる。 今の間に今日のおやつを作ろうと、廊下に出ると台所前で紗耶香さんと鉢合わせした。 落ち着きなく、そわそわとしていて、私にいつもなら嫌味のひとつも言うのに今日はそんな余裕もないようだった。 「紗耶香さんがずっと玄関前の廊下をウロウロしているんですけど、なにかあるんですか?」 台所にいた町子さんに聞いてみた。 「王子様がくるんだよ」 今の時代に王子様?
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