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今ではコーヒー豆専門店でコーヒーとちょっとした軽食が出てくるくらいで、港の方に大きなショッビングモールがあり商店街はほとんどシャッターがおりていた。
「朱加里。今年で十八になるんだったな」
「はい。そうです」
「高校を卒業したら、ここを出ていくのか?」
「お祖父さんが生きている間はここの家にお世話になるつもりです」
「出ていきたいなら、かまわん。生活費は出そう」
「いいえ。そこまでご迷惑はかけられません」
できたら、お祖父さんのそばにいたいと思っていた。
一緒に住んでみて、わかったけれど、父も芙由江さんも紗耶香さんもお祖父さんとお金のこと以外、一切関わらなかった。
気が合わないとよく芙由江さんは愚痴っていた。
それなら、別々に暮らせばいいのにと思ったけれど―――
『病気の年寄りを私達が世話をしている。財産は私達の物』
―――と主張するために一緒に暮らしているらしい。
どちらかといえば、お祖父さんが父の仕事のフォローをしたり、芙由江さんがデパートの外商から後払いで購入し、そのまま支払わずにいたものを支払ったり……
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