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親戚でも恋人でも友人でもない紗耶香さんのその言葉にさすがに壱都さんは苦笑していた。
さらにその紗耶香さんを上回る猛者がいた。
「壱都さん、ちょっとよろしいかしら」
芙由江さんがリビングから、出てきて壱都さんを呼び止めた。
「おい、芙由江。相手は白河財閥なんだぞ。やめておけ」
「なにを言ってるの。相手に不足はないでしょう。紗耶香は井垣グループの社長令嬢なんだから」
なにを言うのだろうと思っていると―――
「壱都さん。紗耶香はまだ学生だし、今すぐじゃなくでもよろしいのだけれど、娘との結婚を考えて頂きたいの」
結婚!?
私は驚いて豆のボウルを落としそうになった。
紗耶香さんは私の一つ下の高校一年生。
春からは二年生になる。
今すぐじゃないってことは結婚はまだだけど、婚約ってことよね……
すごいなぁと思いながら、壱都さんと紗耶香さんを見た。
「白河と井垣は今まで犬猿の仲だったかもしれないけれど、結婚することで、過去の憂いを水に流してはどうかしら?お互いに悪い話ではないでしょう?」
犬猿の仲だけど、結婚。
お互いの利益になっても損はなし。
つまり、政略結婚ってこと?
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