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白河財閥は何代も続く名家でもある。
その血筋には大名の姫ややんごとなき身分の方まで嫁いでくるほどの家柄。
財閥と呼ばれるからには綺麗なことばかりをしてきたわけではない。
白河の人間は腹黒く、計算高いと影口を叩かれていることも知っている。
そんな家の三男として生まれた俺だが、白河の血をしっかり引き継いでいると言える。
キスをした時のあの呆けた顔を思いだし、その純真さに笑ってしまった。
「あのハンカチを届けてくださった方が壱都さんの婚約者になられた方ですか」
「そう。可愛い子でよかった。平凡だけどね」
「平凡でよろしかったのですか」
「まあね。面白そうだったし」
「人生を左右するような選択を面白いってどうなんですかね」
秘書の樫村は呆れていたが、退屈よりはマシだ。
「本妻の娘は承知しているんですか?以前から、しつこく婚約者になって欲しいと言い寄られていたでしょう?」
「父親同士の口約束でしかない」
白河家も井垣家も実権を持っているのは祖父達だ。
「さようですか」
白河財閥の直系である孫は俺を含めて三人。
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