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そして、孫娘を俺に託したことも察した。
勘のいい男で助かる。
だから、秘書として優秀なのだが。
「それではなにか贈り物でも選んで送りますか」
「いや。彼女が大学を卒業するまでは目立ったことはしないよう会長から言われれている」
「あー、わかりました。つまり、手を出すなと言われたわけですか」
少し違うが、まあ、そういうことにしておこうと思った。
「夕食会には間に合いそうですね」
「ああ。紗耶香さんがなかなか帰してくれないから、焦ったよ」
同じ井垣の血を引いているとは思えないくらい積極的でうるさい。
母親のほうもかなり強引な部類の人間のようだった。
「ご冗談を。いつも上手にお逃げになるじゃないですか」
はははっと樫村は笑っていたが、他人事だから笑えるのだ。
この外見のせいで、どれだけ大変な目にあっているか。
まあ、利用している時もあるが。
「壱都さん、着きましたよ」
車は白河家本邸前に横づけされた。
白河家本邸は大正期にイギリス建築家によって建てられた洋館だ。
洋式の庭園がぐるりと建物を囲み、どこの部屋からも美しい庭を眺めることができる。
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