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目を開けると、俺はまだ生きていてどこかのソファーに寝かされていた。
父親に続いて俺も――なんて母親を悲しませずに済んだ事にほっとする。
重く軋む身体でなんとか起き上がり、きょろきょろと辺りを見回してみた。
そこはどこかの更衣室のようで、並んだロッカーとテーブル。
それと俺が寝ているソファーだけ。
「オハヨウ」
ふいに声がして、慌てて声のした方を見るとそこには『白』という印象の男が立っていた。
透き通るような白い肌、白髪ではないがキラキラと輝く白い髪と水色?の瞳。
こんな人間が存在するのか?と信じられない思いでその男の事を見つめた。
「――あの…俺―――」
「オ腹ガ空イテイタンデショウ?キミ行キ倒レテタカラ連レテ来チャッタ。一緒ニミルクデモドウカナ?ココハソウイウオ店ダカラ、食事デキテオ金モ貰エルンダヨ。地球人ッテスゴク気前ガイイヨネ」
「??―――あの…助けてくださって…ありがとうございます…」
俺は男の言う言葉にひっかかりを覚えながらもぺこりと頭を下げたが、男は無機質な瞳で俺の事を見ただけだった。
推定年齢25?27?歳の大人の男は口調は可愛く幼いのに無表情のままで、どこかちぐはぐで無機質なアンドロイドのような印象を受けた。
でも、目の前の男は確かに生きている人間で、なのに生を感じさせない。
そのせいで余計にわけが分からなくなる。
男が言っている内容もちょっとおかしい気もするし。
ミルク?食事?地球人?
俺の頭上に沢山のクエスチョンマークが浮かぶ。
それが先輩、モリアさんとの出会いだった。
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