ネオン街の『牛乳屋さん』

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入店初日、作業の大体の流れを知る為、隣りの部屋で『乳しぼり』を行うモリアさんをマジックミラー越しにオーナーと二人で見ていた。 モリアさんの身体は細いがしっかりと筋肉がついており、所謂細マッチョだった。 上半身裸で下は黒のビキニパンツ一枚。 同性なのに目のやり場に困る。 これから行われる事を想像して身体の一部が反応していまい、慌てて上着で隠す。 その様子にマスターはくすりと笑うがそれ以上の事は言われなかった。 お客もモリアさんの美しさに見とれているのか台の端に腰かけたまま微動だにしない。 モリアさんはそんな事お構いなしにお客の前に跪き、「イタダキマス」と言って手を合わせお客の着ているガウンの前を寛げ、パンツからアレをそっと取り出した。 もうすでにお客のアレは臨戦状態だ。 牛乳屋さんって事にしてるから「いただきます」なのか? 徹底してるなぁ……。少し感心してしまった。 モリアさんはじーっと少しの間アレを見た後、入るのか?というくらい小さく可憐な口をあーんと開けアレを咥えるとすぐに音もなくお客の身体がびくびくと震え後ろに倒れた。 直後、お客が出した物を飲み込んだのだろうモリアさんの喉が上下する。 「え?何?」 お客の表情は恍惚としていてイったと分かるが、一瞬の事すぎて何が何だか…。 「ゴ馳走様デシタ」 最初と同じように両手を合わせ、お辞儀をした。 それが合図になっているのかすぐに台が動き昇天したお客の姿がカーテンの向こうへと消えていく。そして次のお客が台の端に腰かけたまま現れて、さっきと同じように乳しぼりが行われた。 工場の流れ作業のようなシステムになっていて、台が動きお客が運ばれて来るようだ。 そんなやりとりを30分の間に50人ほど―――。 いや、何これ? 俺こんなにできるのかな…? 泣きそうな顔でオーナーを見ると「彼は特別だから。キミはキミのペースで頑張ってくれたらいいから」と苦笑いしながら言われた。 その言葉にほっとするが、モリアさんの乳しぼりを30分も見ていたのに、俺のアレがいつの間にか大人しくなっている事に気づく。 不思議とエロくないのだ。 モリアさんの身体はエロい。服装もビキニパンツ一枚とエロい。 ただ表情と仕草が、何て言うか――――、そう、まさに『乳しぼり』で『食事』なのだ。 モリアさんにとってこれはただの食事なのかもしれない。 だからエロく見えないのだ。 もう一度オーナーを見ると、今度は何も言わずただ頷いた。
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