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プロデューサー
(さて……。この金で仕事と結婚だな)
正は既に結婚を諦めていたが、1億持っているとなると話は別だ。金さえあれば結婚できる。幸せになれるかは別問題だが……。
(できるだけ若い美女を掴まえたい。その為には若い美女が多い職場で働かないとダメだな。金はあるんだ、給料なんて安くていい。ファーストフード店で働くのはどうだ? レジ店員の女の子は店の顔だから美人揃いの筈だ。いや、若い美女が多いだけじゃダメだ。他の男性と同等の立場だと年齢や見た目で負けてしまう。彼女達の上に立たないと行けない。そうなると店長か。いや、店長になるだけで2年以上必要になるんじゃないのか? ……う~ん、ダメだ……。金を持っているだけで人の上に立てる職業じゃないといけない。起業して美女だけを雇うか? ただ、その女性が俺を気に入らなければ意味が無い。こっちが審査する側であれば、向こうから媚びを売ってくるな。何かの審査員になれないか? 例えば売れてないモデルの審査員……。どうやったら審査員に選ばれるんだ? 他に審査と言えば、女優、アイドル……ん? アイドルのプロデューサーになれば、好みの女を集められるんじゃないか? アイドルメンバーに選ばれるために媚びも売ってくるだろう。仕事と恋愛、一石二鳥だ!)
引きこもりやオタク=アイドル好きというイメージがあるが、正は特にアイドル好きという訳では無い。ただ単に若い美人が好きなだけだ。
(そうと決まれば、何がいるんだろう? 取り敢えずスーツか。それで女の子をどこでスカウトするかだが……)
正は財布に帯付きのままの100万円を入れた。普段なら1万円以下、競馬に行くときでも2万円を越える事は無いのだが、金銭感覚が既におかしくなっているようだ。残りの金は競馬のロゴが入った紙袋のまま、押し入れの奥へ1列に整列して入れた。奥の5袋は2千万円ずつ綺麗に入っており、手前の1袋は1,900万円が入っている。
ドアに3ヶ所セロテープを貼り、ドアの鍵を閉め、出掛ける。玄関のドアが開く音ではなく、玄関のドアを開けたことによって、リビングのドアが空気圧の差で動き、「バッ」という音が鳴ったので明は気付いた。
「ん? 正の奴出掛けたんじゃないか?」
「珍しいわね。出掛けるなんて競馬かバイト以外無いのにね」
正は車を持っていないが、徒歩15分ぐらいのところに紳士服専門店がある。正は歩きながらネットでアイドルを調べる。
歩きスマホは禁止だが人の道から外れかけた正には関係無いようだ。
(う~ん、人気が出ていないならヒットしないし、人気が出ていたら誘いづらい……。オーディションでもするか? あっ! オーディション通った子を引き抜けばいいのか! ご当地アイドルグループの活動場所を調べて引き抜こう)
アイドルにも引き抜き等のルールはあるのだろうが、ド素人の正にはそんな事は関係無いだろう。そもそも芸能関係者じゃないので、知らなかったで問題無い。
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