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忘れた頃に、返事を送ったクラスメイトからの手紙を受け取った。2年前に旦那さんを亡くし実家に戻ったこと。今は実家の隣に家を建て一人住まいしていること。体調を崩し気味でひきこもっている、と続いていた。
『みやちゃん、覚えててくれてありがとう。なんかね、独りぼっちでつらくなってた。でもみやちゃんと繋がってるのかぁって、とても嬉しかった。いつかまた会いたいな。』
硬質の美しく読みやすい文字は、隣の席だった書道部部長のクラスメイト。高い背を気にして一番前の席で猫背で授業を受けていた、水上さん。成績上位を笠に着て授業をサボってばかりの私に実習の班組で声をかけてくれた。彼女達に混ざるきっかけをくれた。義務のような誕プレの情報を教えてくれて、そう、きっと、私がハブられないようにしてくれてたんだ。
そんなこと考えてもみなかった。水上さんの友情を知ることも無く独りで上手くやれてると思っていた。誰かを頼らずに上手く周りを利用して生きてる気になって。
「、、あぐらをかいてたんだ、って。なんもかんも、私は、怠けてた、だけじゃん。」
居心地の良い麗たんのお店の居心地を保つための奮闘を私は知っている。社交辞令を流さずに溢れる情報を自らの足で確かめる。それを繰り返し縁を繋いでいく。狭くない世界の端から端を息つく間もなく駆けている。店での麗たんのおっとりぶりと反するアグレッシブさを私は驚嘆するし尊敬している。その行動力が羨ましく、そしてくだらないと思う。好きでやってるとわかっている。でも結局は身を削ってるじゃない。繋ぎとめる縁にその価値があるのか、と、嫉ましさをシニカルに変換して、毎日をしっかり生きようとする麗たんから目を背ける私を正当化し蓋をする。
でも、もう無理だ。
無理だ。
羨ましいとか嫉ましいとか暇じゃないとか、私とは違うとか正しいとか大多数とか、言い訳が尽きてしまわなくても、もう、
私も、そうありたい、と気づいてしまった。
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