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「道昭、この部屋何か臭くね?」
「そう?なんの臭い?」
道昭には臭わないようだった。
道昭は一呼吸おいて、キッチンへ走って向かった。
ガスの元栓を気にしたようだが、両親が外出をする時、閉めて行っていたようだった。
その流れでゴミ箱、トイレ、寝室、玄関、あらゆるところの確認をした。
「別に変な臭いはしないけどな」
道昭も脩に釣られて、顔を顰めた。
「なんだろうな。さっきから鼻にまとわりついてくるような」
そこまで言ったところで、脩は弟の姿を見つめた。
道昭の背後を付いて歩くと、刺激臭がすることに気づいたのだ。
「道昭、ちょっといい」
脩はすかさず、道昭の肩のあたりに鼻を持って行った。
すぐさま顔を遠ざけた。
「道昭、昨日風呂入ってないだろ」
「ははは、バレちゃったか」
バツの悪そうな顔をして笑って誤魔化した。
「きったねえなあ。昨日も部活だろ。家中汗まみれじゃん」
脩は露骨に不快そうにした。
無理もない。道昭はバスケ部で運動量ははんぱではない。
練習後は下着まで汗だくになるのがお決まりだった。
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