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「いい加減ウゼエっての!」
「ぐっ......くそ......これがあの伝説のヤンキー『ブルータルバタフライ』の実力かよ......!」
ワイシャツ風の学生服を着用した上に学校指定の青ジャージを羽織る少女に、顔面を殴られた特攻服を纏ったヤンキー女が壁に打ち付けられ、ズルズルとヘタリ込む。
だが、その一言を聞いた少女は、プリーツスカートを翻しながら、女の顔を蹴り飛ばした。
「......っ!」
「てめえ、次その名前口にしたらこんだけじゃあ済まさねえからな! あたしの名前は『秋月レイ』だ! あーきーつーきーレーイ! 覚えたな! よし!」
胸ぐらを掴まれ、鋭い目付きを更に鋭くさせたレイに脅えた不良は、涙を滲ませ何度も首を縦に振る。
それに気分を良くしたレイは、彼女を突飛ばし、表情を明るくした。
だが、先程不良が口にした名前をふと思い出し、彼女の顔色を曇らせる。
その理由はもちろん......
「あー、ちくしょー......中学ん時にあんな中二丸出しの名前、つけるんじゃなかったぜ。 マジ後悔だっつの」
喧嘩した事ではない。
彼女にとって喧嘩は娯楽。
強いやつと戦うのが趣味である。
では何かと言うと、ズバリ、中学生の時に日本最大ヤンキーグループを壊滅させた際に名乗った名前。
ブルータルバタフライの知名度が不良の間ではカリスマであり、いつか越えたい存在として定着してしまったから。
彼女も今や高校二年生。 喧嘩はしたいものの、その名だけは返上したくて仕方がない年頃なのである。
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