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「分かりました! 分かりましたからもう許して......! すいませんでしたぁ......っ!」
「......へっ、んじゃあよろしくなー」
説得と言う名の拷問を終えたレナの表情はスッキリ爽やかである。
意気揚々と立ち上がり、首にぶら下げた音響の良い大きめのヘッドホンを装着しようとした時。
眼の端に映った男子高校生に肝を冷やした。
ギギギッと右に首を向けると、数メートル先のその男子の怒った顔が眼に映る。
途端にブワッと冷や汗が吹き出た。
「や、やあ......カズキ。 は、早かったね」
「よお、じゃない! また喧嘩したのかよ、レナ!」
少し着崩したワイシャツを纏う、レナから見てそこそこ端正な顔の黒髪少年が彼女に詰め寄る。
「喧嘩するなって言っただろ!?」
「う......け、喧嘩じゃないし......」
「......はぁ?」
ヤンキーの間の抜けた声にレナはキッと睨み付けるが、カズキに見られているのに気付き、笑顔を取り繕う。
「ほんとにぃ? どう見ても喧嘩してたとしか見えないけどね」
カズキは、ヤンキーの特攻服とレナの汚れた制服にこびりついた汚れを眺めながら問いかける。
その問いに困窮したレナは今や大人しくなったヤンキーの腕を掴み、引っ張り上げ。
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