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「ほら、こんなに仲良しだし! だろ?」
ヤンキーの肩に腕を回し、仲良く見えるように抱き寄せ、仲良しアピールをするが、カズキはまだ信用しきれていない。
「うーん、でもなぁ」
「.......え? 一体なんのつもり......ぐぅっ!」
状況を飲み込めないヤンキーの首筋をつねり、顔を耳元に寄せたレナは冷たい声色で呟く。
「話合わせろ、良いな。 少しでもトチったら......分かってるよな?」
「わ、分かったからやめてくださいって!」
首筋をつねっていた指の力を抜き、肩に手を置く。
そして心配そうにしているカズキにヤンキーは作り笑顔を向けたが
「あのー、大丈夫ですか? なんか顔色悪そうですけど」
「い、いえ! 特になにも......ふぉぉ......今度はなんだよ!」
レナが肩を砕く程に握りしめた。
堪らず問いかけるヤンキーの言葉に、レナも静かに答える。
「誰が色目使えっつった」
「えぇ......してないしてない。理不尽......」
「なら、はい。 続きやれよ」
「うぅ......いやぁ、ほんとに何も無いんすよ! ただ憧れの秋月さんに会えてテンション上がってたっていうか!」
どちらにしても地獄が待っているのを悟ったヤンキーは笑顔を最低限に抑えつつ、舎弟らしく振る舞った。
少しの間、肩に置かれたレナの左手に意識を集中させていたが
「そっか。なら良いんだ、ごめんな。 レナ、遊ぶのも良いけどそろそろ学校行くぞ?」
「お、おう! じゃあな、えーと......ヤンチャすんのもほどほどにしとけよ!」
カズキの一言で緊張感からも、レナからも解放された彼女は安堵の表情を見せる。
そして、頭を下げると小物の様に逃げていった。
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