中川勝司

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 俺はスマホを手に取り、画面に溜まっていたLINEやニュースの記事をタップしていく。LINEには、『終わったか?』という編集長からのメッセージ。それ以外は彩香からのものだった。 『やっぱり、お腹の中にいるのは莉緒だった』 『あなたはまだ信じていないみたいだから、帰ってきたらエコー写真見せるね』 『今日は、何時に帰って来るの?』  彩香が妊娠をしたと俺に告げてから今日で三日。そう言えば昨日、産婦人科に行くというメッセージが来ていたことを思い出す。  莉緒が亡くなってからは俺がメッセージを送っても返してこない彩香だったが、この三日間は頻繁にメッセージを送ってくるようになった。それだけ心が事故以前に戻ったと思いたいが、妊娠という受け入れ難い事実が理由なら喜ぶことは出来ない。彩香が妊娠なんてするはずないのだから。 「なんかあったんすか?」  深刻な顔でスマホを覗き込んでいる俺を気にして内藤が話しかけてくる。 「別に。編集長が早く写真を見たがっているみたいだから帰るぞ」  そう言ってエンジンを掛け、アクセルを勢いよく踏み込んだ。
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