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「ほら、全く同じでしょう? 形もサイズも……すべてが同じ」
彩香が言うように、今日見せてきたエコー写真は莉緒のものと同じだった。違うのは日付くらいだ。いや、そもそもこれくらいの時期のエコー写真なんてどれも同じじゃないのだろうか。
口を開けたまま固まっている俺の顔を彩香が覗き込む。
「これであなたも信じてくれたでしょう? この中にいるのが、莉緒だってことに」
彩香はそう言ってお腹を撫で、何かを思い出したように立ち上がった。
「凌空を呼んで来なきゃ。久しぶりにキッチンに立つとダメね……」
そう言って彩香がリビングから出て行こうとした時、二階から扉の開く音が聞こえて来た。
「良かった、出てきたみたい。久しぶりに家族四人でご飯が食べられるわね」
彩香がお腹の中にいるナニカもカウントしていることには触れず、俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出してプルトップを開く。それに合わせて開かれたリビングの扉から、右瞼を赤く腫らした凌空が顔を出した。
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