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中川凌空
莉緒が死んだのは僕のせいだ。
僕があの時、自転車に乗って出かける莉緒に声を掛けていれば死なずに済んだ。
梅雨特有の蒸し暑い日だった。
『おばあちゃんち、行ってきまーす』
莉緒は学校から帰宅してきた僕にそう言ってサドルに跨る。一人でおばあちゃんの家まで行った事なんてあっただろうかと思っていると、莉緒の履いている右の靴紐が解けている事に気づいた。あのままでは危ないと思ったが、漕ぎ始めたら気づくだろうと呑気に考え玄関の扉を開いた。
自分の部屋に籠ってスマートフォンを弄っていると、遠くからパトカーや救急車のサイレンが聞こえてきた。一台や二台じゃない。何か大きな事故でもあったのだろうかと思い窓を開けると、数百メートル先の交差点に横転しているトラックがあった。
目と鼻の先で大きな事故は珍しいと、僕は野次馬根性丸出しで家を飛び出した。
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