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「なぁ中川……お前さ、何が楽しくて毎日学校来てんの? もしかしてさ、勉強して大学行ったらまともな生活送れるとか思ってる? 先に言っとくけど、お前がどこの大学に行こうと、どんな一流企業に就職しようと、お前のオヤジが人殺しだっていう話はしにいくからな。新しく作った友人や女、同僚や先輩、全員に話をしに行く」
「田崎って、ヒマなんだね……。僕にそこまでの時間を使えるなんて」
思わず口をついて出た僕の言葉に顔を赤くした田崎は、机から飛び降りて胸倉を掴んできた。
「お前、今なんて言った? ゴキブリのくせに人間の言葉を喋ってんじゃねぇよ。また殴られてぇのか?」
低レベルな言葉のチョイスだなと思いながらも口には出さず、静かに睨みつけた。
確か田崎は、父の取材がきっかけで自殺をした女優のファンだとクラスメイトに公言していた。たったそれだけでここまで僕に執着するのかと思うが、田崎にとっては当たり前の行為なのだろう。僕に悪戯をすることが、正義の鉄槌だと思っているのかもしれない。
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