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今日は数ヵ月前から追っていた福知山徹と広畑茉優の不倫現場を押さえる為の張り込みをしている。都心から離れたビジネスホテルで密会しているという噂をある情報筋から入手して三週間、ストーカーのように付きまとった成果が得られる日がついにやってきた。
いつ出てきてもいいようにカメラを手に取り、ホテルの入口に照準を合わせてシャッターに指を掛けた。俺の読みが正しければ、太陽が昇る前にどちらか一人は出てくるはずだ。
「先輩、出てきました! 福知山……いや、広畑もいます!」
内藤がその言葉を言い終えた頃には、俺は車から降りて二人の真横に回り込んでシャッターを切っていた。カシャカシャという音に肩をビクつかせた広畑。福知山は広畑を守るように肩を抱いて何か叫んでいる。
俺に対する暴言であることは明らかだが、興奮していて何を言っているのか分からない。福知山もこんな都心から外れた田舎で朝四時に記者に狙われるなど思ってもいなかったのだろう。二人で堂々と出てきたのが良い証拠だ。
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