トメオとジョージ

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 我が家には、少し前から猫の居候がいる。  猫といっても、かなり珍しい類のやつだ。ある晩、そいつは勝手に家に侵入し、おれの帰りを待ち構えていた。  ……頭に豆手ぬぐいのほっかむりをして。 「――!?!????!?????」  玄関ドアを開けた途端、持っていたコンビニ袋を取り落としそうになった。後ろ足二本で器用に立った猫が、盆踊りらしき舞を披露するところに遭遇してしまえば、当然のことだが言葉も出ない。  ついに日々の不摂生のツケが回ってきたようだ。脳が見ていないはずの像を結んでしまったらしい。寝不足の上に主食がアイスだったのが悪かったのか? そうだ、そうに違いない。  目の周りのツボをゴリゴリと押し、深呼吸をひとつ。改めて見下ろしてみると、踊る猫は消えていた。その代わり、悄然とうなだれる普通の猫がいる。茶色の縞柄で痩せている。可愛げはまるでない。 「……ハハッ」  思わず乾いた笑いが洩れた。  そりゃあな。さすがに踊るわけないわな。だけどこいつ、一体どこから迷い込んだ?  奥の部屋に目をやると、ベランダへと続く窓が薄く開いていた。侵入口はどうやらあそこらしい。また窓に鍵を掛け忘れて出かけてしまったようだ。
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