vol.2

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「あのね、サークルの先輩に何がいいか聞いて、ふっちーの喜びそうなの選んだんだ。ね、開けてみて?」 バイトも頑張ったし、やっと渡せる。そんな気持ちだった。 「いらない」 ふっちーから出た言葉をなかなか理解出来なかった。……え? 「あ、中身、イヤホンなんだけど、ほらトレーニングとかウォームアップとかの時に聴けるかなって、ふっちー音楽好きだからって思ったんだけど、ごめん、他のが良かった?」 「いや、何もいらない」 ふっちーの顔を見上げたけど、何も映ってないような目をしてた。何もというか、もう私は映ってない。 「もう、無理。紗香、俺、お前無理だわ」 そう言って、立ち上がると、呆然とした私をそのままにバタンと玄関のドアが閉まった。 ……無理って、言った?無理って言ったの? ちゃんと聞いたのに、全然わからない。頭が理解してくれない。 今日、ふっちーは何度も何か言いかけた。聞きたくなくて、遮った。そうかもって、予感はした。予想してたより、キツい。 私はそこで泣き崩れた。もう頭の中も心の中もぐちゃぐちゃで、何が何だかわからなかった。夢であって欲しかった。自分がこれからどうなるかわからなかった。消えてしまいたかった。 ──息が出来ない。 気を失ったのかもしれない。バンッという大きな音がした様な気がする。
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