vol.2

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「何?」 「ほら」 「何? イチャイチャしたくないの?」 「ケーキ食ってんだろ!」 「ケーキ、食べ終わったらしよ」 「……や、今日はしない」 「何で!?」 今日せずして、いつすんだよ! 「いつも、俺ばっか……」 あ、真希さんから聞いた、魚住さんの自制の話を思い出した。もしそうなら、私から言ったっていいじゃないか。 「女だって、性欲はある!」 あ、ちょっとこれは違うかった。 「……マジで? 嫌じゃなかったのか? 今まで」 「……全然。嬉しいけど」 「そっか」 「あ、ねえ、私から言われたらどう?」 「……全然。嬉しいけど」 「ふふ。じゃあ、私はしたい。どう?」 「いいね」 でも、後でな。って甘ったるいキスをくれた。 「私がアパート行った時はキスもしてくれなかったくせに」 じっとり睨んで言ってやった。寂しかったんだから。 「いや、アパート壁薄いんだよ。お前、声デカイだろ?」 一気に顔が熱くなった。 「や、ちょ、もう!」 恥ずかしさの限界をこえて、ふっちー目掛けてバンバンとクッション投げつけたけれど、長い腕でひょいひょいと器用にキャッチして、ふっちーに当たることはなかった。 そうだ、この人球技得意な人だった。悔しい。 「だから、アパートではしなかったの? でも、キスくらいいーじゃん」 「あのなあ。キスしたらやりたくなんだよ、こっちは」 「へえ」 「横にいたらもうしたいし、キスしたらもうそうなる」 そう……とは。チラリ下半身に目を走らせてしまって、返ってきたクッションがボフッと私の顔にヒットした。なるほど、理解した。(私は球技苦手)
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