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「何?」
「ほら」
「何? イチャイチャしたくないの?」
「ケーキ食ってんだろ!」
「ケーキ、食べ終わったらしよ」
「……や、今日はしない」
「何で!?」
今日せずして、いつすんだよ!
「いつも、俺ばっか……」
あ、真希さんから聞いた、魚住さんの自制の話を思い出した。もしそうなら、私から言ったっていいじゃないか。
「女だって、性欲はある!」
あ、ちょっとこれは違うかった。
「……マジで? 嫌じゃなかったのか? 今まで」
「……全然。嬉しいけど」
「そっか」
「あ、ねえ、私から言われたらどう?」
「……全然。嬉しいけど」
「ふふ。じゃあ、私はしたい。どう?」
「いいね」
でも、後でな。って甘ったるいキスをくれた。
「私がアパート行った時はキスもしてくれなかったくせに」
じっとり睨んで言ってやった。寂しかったんだから。
「いや、アパート壁薄いんだよ。お前、声デカイだろ?」
一気に顔が熱くなった。
「や、ちょ、もう!」
恥ずかしさの限界をこえて、ふっちー目掛けてバンバンとクッション投げつけたけれど、長い腕でひょいひょいと器用にキャッチして、ふっちーに当たることはなかった。
そうだ、この人球技得意な人だった。悔しい。
「だから、アパートではしなかったの? でも、キスくらいいーじゃん」
「あのなあ。キスしたらやりたくなんだよ、こっちは」
「へえ」
「横にいたらもうしたいし、キスしたらもうそうなる」
そう……とは。チラリ下半身に目を走らせてしまって、返ってきたクッションがボフッと私の顔にヒットした。なるほど、理解した。(私は球技苦手)
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