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だけど、それも俺に気を使って言ってるのかと疑う。浮気なんてする気はないけど、俺からの誘いを断ると浮気されるとでも思っているのかもしれない。だって、俺が何言っても「うんうん」頷いて、ケンカにもならない。中学の時は、俺の言うこと言うこと反発してたのに。
「なあ、ケンカはしたくないけど、無理はして欲しくない。紗香がしんどくなるだろ?」
「……しんどくないよ、楽しい」
俺の指に自分の指を絡めて手遊びしてくる。
「でも、お前こんなんじゃなかったんじゃん。中学の時はもっと俺にギャーギャー言ってたし……」
「ギャー!」
「うっせえ、耳元で!」
「どんだけ前の話すんの!? 忘れて! お願い! あれ、死ぬほど恥ずかしい。好き過ぎてあまのじゃくを発症してたんだよ!
今の……私が本当の私なの! あっちがおかしかったの!」
「……あ、そっか。それでおんなじ高校に行かなかったんだっけ?」
「……そうだよ」
「あはは! わかった。じゃあ、嫌な時は……ちゃんと言って?」
片方の手は繋いだまま、もう片方の手を腰にを添えて引き寄せた。勝手知ってる身体だけど、何度目でもドキドキする。
紗香が、同じ大学で良かった。
「たまには、どっか出掛けるか」
「んー、やだ。これが幸せ」
紗香がちゃんと自分の意見を言った。
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