vol.2

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────…… 「ふっちー、女の子から下の名前で呼ばれてんね」 「あー、最初に津守が下の名前で呼び初めて、そうなった」 「へえ」 「お前も呼べば?」 「え、やだよ。他の女の子と同じ呼び方なんて」 「呼び捨ては誰もいないから」 チラリと私を窺ってそう言った。 「え、やだやだ、恥ずかしい」 「そ? 空いてんのに」 空席はひとつ!今日から私はその席におさまった。 ──── 「紗香、これありがとうな」 ふっちーが自分の耳元のイヤホンを指差していった。 「あ、うん。へへへー、気に入ってもらえて良かった」 「うん」と、頷いた後でちょっとだけ不服そうにして 「でも、そのためにあんなバイトとかするのは心配だから、ヤだ」 !!可愛い言い方に心臓がギュギュッとなる。 「うん、ごめんね」 「いや、俺のためだし、こっちもごめん」 最近、二人で謝り合うことが多い。変なの。 「来年は初めてのお酒で乾杯しようね」 「うん。……あ、でもそん時、お前まだ酒飲めないじゃん」 「あ! そうだぁ。初めてのお酒は二人で乾杯したかったのに……」 がっかり。何で同じ日に生まれなかったの、私! 「しゃーねえなあ。じゃあ俺がお前の誕生日まで待っててやる!」 「ほんと? ほんとに? アパートの人たちとこっそり飲んだりしないでよ?」 「うん」 来年の約束、来年も一緒。不安に思わないことに、幸せ過ぎてニヤニヤしちゃった。
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