1118人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
────
「なーんか、懐かしいね」
「ほんと」
朱里と観客席でコートを見下ろしていた。あの頃と違うのは、少ししかないフロアから見るんじゃなくて、何千という観客席のある、試合の規模。
「あー、もう、雅紀格好いい!」
まだフロアに出てきただけのふっちーを見つけて言った。朱里が私に驚いたような目を向けてくる。あれ、どうした?
「『雅紀』?」
「あ、違うの違うの、呼んでみただけで、ははは」
「ええ、今さら! 何よ初々しいわね」
と、笑われてしまった。
「うん、まだドキドキする」
「ふっ、紗香はそうじゃないと」
「へ? 何それ」
「さ、応援しよ。動画撮らないの?」
「うん。あんなに格好いいんだからさ、直接目に焼き付けたい」
「そうだね」
私たちは同じ気持ちで笑いあった。
「ねえ、朱里、最高だね」
「うん、最高!」
「「campuslife」」
私たちのcampuslifeはこれなしでは語れない。あの時と同じくらい。それ以上にドキドキしてる。
朱里も私も、精一杯の声援を送った。
ふっちーが、私に目を向けて笑ってくれた。……気がする。(遠い!)
────end
最初のコメントを投稿しよう!