vol.3

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もしかして、柴田の悪意で心が折れかけた今泉をもう一度芳川の元へ送る役割で、俺はここにいたのだろうか。変な縁だな。 手に入らないから、欲しかったのかもしれない。 今泉のアイコンも背景も連絡先を交換した時から変わっていた。映り込んだ腕は、きっと芳川のものだ。 うまく、いったんだな。そう思うとほんの少し、胸がチクリと痛んだ。今泉を好きだったとかそこまでじゃなくて、羨ましい、そう思う気持ちだった。 とたんに一人でいることが辛く感じた。平坦な毎日、自分の好きなことを仕事にした芳川、プライベートも充実して、今泉を恋人にする。 比べても仕方がないのに、自分が両極にいるような虚しさを覚えた。 「俺も、恋人つくるかあ」 見慣れた天井の模様は、子供の頃から変わらないものだった。良い年して、実家暮らしってのもなあ……。何もかもつまらなく感じた。 出会いなんてないに等しかった。だからこそ、いいなぁと思ったらすぐに行動しなきゃならないんだけど、いいなぁと思った子がフリーとは限らないんだよなぁ。 紹介や合コン、何でも誘いがあれば行ってみよう。 その日から、休日はなるべく出かけるようにした。それが、項を奏することはなかった。むしろ、逆。
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