vol.3

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「あっ、落合くん! 落合くんよね? 私、高1の時同じクラスだった柴田美奈世。覚えてない?」 覚えていた。いや、今泉に会ってなかったら忘れてた。ちょうど、思い出したところ。 「ああ、久しぶり」 覚えてるって言っても、覚えてないって言っても、同じ反応をするだろうと思った。明らか値踏みするような視線は、隠す気がない分、清々しい。 「ね、ね、久しぶりに会ったんだけど、お茶しようよ。今時間ある?」 「あー……ない。ごめん」 「ええ、残念。じゃあ連絡先教えて。今度ご飯でも行こうよ。今、どこに住んでるの? 仕事はこのあたり? 休みは土日?」 時間ないって言ってんのに、この様子に苦笑いする。 「仕事は地元でしてる」 質問にぼやかして答えたのに 「へえ、何の仕事?」 と、容赦ない。いいか、別に。 「公務員」 ぼんやりとした答えを返した。公務員なんてピンキリだし、そう思ってこう答えたのに 「そうなんだ、大卒の公務員だよね? 進学したもんね。どんな仕事……」 「ストップ、時間ないんだ、マジで」 「そっか。じゃあ、連絡先教えて」 「あー、メモに書いて? また連絡する」 「……ダメ。スマホ出して。その方が早いから」 俺が引いてるのわかっててこう言うんだもんな。まいった。仕方なくスマホを出して連絡先を交換した。まあ、連絡する気もないし、逃げよう。連絡先の交換が終わるとすぐにその場から立ち去った。
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