花あつめ

vol.3

柴田は芳川にロックオンしてんじゃないのかよ。あ、そうか、今泉と上手くいって振られたのか。

例えば、今泉から柴田のことを聞いてなければ、あの強引さも悪くはないと思い、次の約束を取り付けたかもしれない。見た目だって悪くはないし、あの強引さも自分に向けられた好意だと思えば……良く見えなくもない。

だけど、残念ながら今泉から聞いてたもんで、柴田はナイ。そう思うと、今泉は俺が柴田に対してNOの気持ちを持つために出会った、そんな縁なのかもしれない。

柴田を近づかせない縁。なんじゃそら。恋人にもなれないのに再会させた縁をそんな風にこじつけると、少しは意味があったのかと、気持ちが晴れた。ような気がする。俺は柴田の悪意が今泉の心を折らないようにに跳ね返す役割。今泉は俺に柴田の好意を受け取らせない役割。

ふうん。どうだ、そんな縁だ。今泉にも連絡しなかったけど、柴田にも連絡しない。理由は正反対だけど。

じゃあ、ここでばったり会った俺と柴田の、縁はどんな意味あるんだろうか。

良いと思ったら躊躇せずに、すぐに好意を伝えていくというのは同意する。でも学んだ。押しすぎは引く。つまり、柴田のはやり過ぎ。

それより、何より、ただ柴田を女として見れなかった。

悪いやつではない。自分の感情に率直なだけ。いつか、ほだされたりするのだろうか……。