vol.3

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柴田からのメッセージ攻撃はともかく、電話はそんなに無視も出来ない。人を無視するというこは苦手だ。罪悪感に苛まれる。 柴田の好意はストレート過ぎるくらいストレートだった。『結婚したい』と、はっきりと言った。だから、良い人がいたら逃したくないと。結婚したいくせにそんなことは意識してませんとばかりに付き合って、それとなく探ったり伝えてくるようなものよりは、潔い。 俺も結婚願望は同じようにある。ただなぁ。 「あのな、柴田。さすがにその勢いはどうかと思う」 『そう? でもさ結婚する気ない人と今さら付き合えないでしょ?』 「そうだけど、その前に、お前と付き合うかどうかの選択肢は男側にもあるんだよ。引かれたら意味ないだろ」 『ふん、確かにそうね。気をつけるわ』 「ああ、どうぞ次に生かしてくれ」 『ふふ、わかった。先ずはお互いを知らないとね。引かずにアドバイスくれてありがとう。次は気をつけるから、今度いつ会える?』 「あー、もう会っても意味ないと思うけどね」 『さあ、どうだろ。ふふふ』 電話口、柴田は笑うと電話を切った。 ……何か、すげえなあいつ。すっげえ疲れる。エネルギー吸われる感じ。たかが電話でこれだと、会ったらダメージがヤバそうだ。 直ぐに柴田からメッセージが届く。自分の空いてる日(ほぼ全日)と俺の予定を尋ねる内容だった。 勘弁してくれよ。何の縁だよ。
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