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──噂をすれば何とやら。
それからすぐに、街でばったり芳川に出くわした。
「よお!」
なんてお互いすぐに声を掛ける。俺は芳川と今泉に何かあったのは知ってるけど、芳川は知らないわけだ。どうするか……。
「芳川、今泉とまだ付き合ってんの?」
そう聞く。俺と芳川は高校ぶりなのだから。
「まだ……ってか、付き合ったとこだけど」
「あ、そっか、そっか。最近ね。んじゃあやっぱこれ、芳川か」
今泉のメッセージアプリの画像、映り込んだ男の腕は、やっぱり芳川。
「うん、そう」
「はは、そうか。やっぱ上手くいったんだな」
……ほっとした芳川に、俺の存在を知ってたのかと思った。今泉が話したのか。何となく気まずい。
「ああ、そうだ。ちょっと困ったことがあって、アドバイス欲しいんだけど……」
話題を変えないと……。
「この前、柴田にばったり出会ってしまって……」
それだけ言うと、芳川は全てを悟ってくれた。
「なるほど」
「何とかなりませんか」
「……えーっと、“お部屋デートするくらいいい感じの子がいる”と言うのはどうでしょう。これがね、結構効くのよ」
はーん、お前はそう言ったわけね。と、一人納得する。
「俺、実家だけど」
「尚更いいね」
「言ってみます。虚しいけど……」
芳川を睨むと
「えと、公務員に憧れてる女子が職場にいるけど紹介しようか?」
「いいかもな」
と、俺も笑った。まあ、社交辞令だ。スマホ出したついでに芳川とも連絡先を交換した。
今泉、やっぱ芳川に話してんだな。俺が公務員なことを芳川が知ってるってそういうことだ。
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