vol.3

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芳川も半ば冗談のように言ったんだと思うし、俺も鵜呑みにしたわけじゃない。だけど、かなり効果的だった。 柴田から1度メッセージが届き、その内容がこれで終わるという意思表示をされたものだった。 正直、ものすごくほっとした。柴田としても脈がないと確信したのか、これ以上は無駄だと思ったのだろう。引き際だけは潔かった。最も俺に惚れてたわけでもなく、チャンスを逃したくなかったのだろう。だらだら時間をかけていられるほど若くはない。 俺の今泉に対しての感情みたいなもんだ。いいなあ。って思う感情。好きに変わる前に引き返せる感情。 はあ。ほっとした。けど、虚しいな。 ──この続く虚無感をアテに一人酒などしている時だった。 『飲みに行かないか?』 そうメッセージをくれたのは、俺に良きアドバイスをくれた男であり、俺にこの虚無感と劣等感を抱かせてくれた、芳川だった。 『今、一人で飲んでる』 そう返事をすると、すぐに電話が掛かってきた。その場で合流することになった。 もう少し、気取った服装にすれば良かったか。何てことない自分の身なりに、そう思い、男相手に何を……と、苦笑いした。 いや、それより、何でまた飲みになど誘ってくれたんだろうか。懐かしいだけだろうか。
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