vol.3

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「あ、じゃあ、二人の方が話しやすいと思うから」 そう言って、芳川は俺たち二人を残すとさっさと帰って行った。おかしいと思った。クロスバイクで待ち合わせに来た芳川に、長居する気はなかったのだと気づけば良かった。 目の前にはガッチガチに緊張した女の。第一印象は可愛いとか優しそうだとか、フィーリングとかそんなのぶっ飛ばして 「若っ!」だった。 「あ、いえ。21です」 「……あ、そっか」 彼女は俺が引いたことに気がついたのか 「でも、今年22です」 と、おどおどとしながら言った。 いやいや、21が22になったところで何も変わらない。正直10代に見える……。ため息を吐きそうなのを我慢して、今日この時間はやり過ごすことにした。 芳川のヤロウ!いや、聞かなかった俺も悪いのか。なかなか“いいなあ”って思える相手に出会えない。本当に難しいことなのだ。 「じゃ、とりあえず食べようか」 この店は芳川がこの子と二人で決めたらしい。今泉とよく来るのか?そんな邪推をしてしまう。 「ここ、来てみたかったんです」 と、少しはガチガチが解けたのか、メニューを持ってそう言った。 「ああ。そっか、君の希望ね。何が美味しいんだろうね」 俺もメニューを手に取った。女子が好きそうなイタリアンだった。
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