vol.3

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「あの、『君』じゃなくて……」 「ごめん。モナちゃんね。どんな字書くの?」 モナちゃんはパッと見てわかるくらい真っ赤になると 「内側の“内”に、ふじの“藤”で、内藤です!」 と、言った。 「……うん。その内藤さん以外に会ったことないけど、“モナ”はどんな漢字?」 「カタカナです。すみません、簡単な名前で!」 「いや、そっか。女の子らしいね」 カタカナの名前は女子でしか知らないからそう言った。別にキラキラネームってこともないし。そっか。くらいの感じだった。 難しい。この場は、相手に嫌な気持ちにさせずに楽しんで、もうこれっきりだと伝わるようにしなくちゃならない。恋愛対象としては見れなかったってことを。 向こうも、無理だろう。全然、系統が違う。今風の若い子だ。ヘアメイクって言ったか。全く縁の無い世界の子だ。 彼女の好きな物を注文して、軽く酒も頼んだ。 「伸之さんは、どんな女の子がタイプなんですか?」 差し障りのないように会話で繋いでいたら、ふとそんな話をされた。……どんな、タイプだろう。 「うーん……わりと、落ち着いた感じの子かも」 言ってから思った。例えば、俺が今このモナちゃんと同じ21歳だったとしても、モナちゃんとは、あんまり仲良くなかっただろうなって、感じだ。
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