vol.3

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何も知らないふりして、待ち合わせ場所にいた。だけど、モナちゃんの心情を聞いてしまった以上は聞く前とは違う気持ちでいた。 行き先は、気軽な飲み屋から半個室の店に変更した。……一応こってりした串カツの店だ。 それでも、もう少しはモナちゃんの事を考えるにしても……どうしたものか。断るなら早い方がいいと思うんだけど。考えてみるとは思ったものの、結局は断るという選択肢しかないと思っていた。 ──ガチガチで目の前に現れたモナちゃんはこの前よりメイクだった。パツンと切り揃えた前髪は短いながらも斜めに流されていて、目の周りもこの前みたいにキラキラしてなかった。(メイクはよくわからないけど、ラメとかパールとかそんなんじゃないもの) 服装は白のカットソーにブラウンの大きめのカーディガンを羽織っていた。 とはいえ、元々可愛い子だし、劇的に違う!って感じでもなくモナちゃんはモナちゃんだ。この準備に2時間以上かけたのか。もし、それを知らなかったなら“この前と雰囲気違うね”なんて気軽に言えただろうに、考え過ぎてしまって、逆に何も言えなかった。 「じゃ、行こうか」 今日は初っぱなから帰りたそうなどと思われないようにしなければならなかった。“ナシ”は変わりないんだけど……。
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