vol.3

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モナちゃんの逸らした目が潤み、鼻先が少し赤くなった。ええ、泣く? 「や、ごめん。傷つけるつもりはなくて、たぶん化粧しなくても可愛いだろうなあって。この前のも、今日のもどっちも可愛い」 モナちゃんはスンッと一度鼻を鳴らすと 「ごめんなさい。困らせるつもりじゃ」 と、俯いてしまった。『可愛い』と言ったのは社交辞令、もしくは小さい子どもに言うような意味合いに取られたらしい。何て言っていいかわからず、無意識に手を伸ばしていた。 「伸之さんは……」 モナちゃんがパッと顔を上げたので、ハッと手を止めた。モナちゃんは不思議そうに俺の止まった手をみつめる。俺は届かなかった手をそのままぎゅっと握り、下ろした。 手を伸ばして、何を、するつもりだったのか。モナちゃんは不思議そうな顔のまま、言葉を続けた。 「前の彼女とはいつ別れたんですか?」 「いつだっけな。二年は経ってると思うけど……」 不意を突かれて、正直に言った。まあ、嘘をついても仕方がない。 「結構、最近ですね」 「そうかな。もうちょっと前かも」 さすがに三年は経ってないとは思う。 「何で別れたんですか?」 「うーん、何か違った。口では説明しづらいんだけど」 「そうですか……」 何かを考える素振りのモナちゃんに、前回『私には聞いてくれないんですか』と、聞かれたのを思い出した。 「モナちゃんは、前の彼氏とは……」 あれ、これ聞いていいもんか?と一瞬躊躇した。
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