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モナちゃんの逸らした目が潤み、鼻先が少し赤くなった。ええ、泣く?
「や、ごめん。傷つけるつもりはなくて、たぶん化粧しなくても可愛いだろうなあって。この前のも、今日のもどっちも可愛い」
モナちゃんはスンッと一度鼻を鳴らすと
「ごめんなさい。困らせるつもりじゃ」
と、俯いてしまった。『可愛い』と言ったのは社交辞令、もしくは小さい子どもに言うような意味合いに取られたらしい。何て言っていいかわからず、無意識に手を伸ばしていた。
「伸之さんは……」
モナちゃんがパッと顔を上げたので、ハッと手を止めた。モナちゃんは不思議そうに俺の止まった手をみつめる。俺は届かなかった手をそのままぎゅっと握り、下ろした。
手を伸ばして、何を、するつもりだったのか。モナちゃんは不思議そうな顔のまま、言葉を続けた。
「前の彼女とはいつ別れたんですか?」
「いつだっけな。二年は経ってると思うけど……」
不意を突かれて、正直に言った。まあ、嘘をついても仕方がない。
「結構、最近ですね」
「そうかな。もうちょっと前かも」
さすがに三年は経ってないとは思う。
「何で別れたんですか?」
「うーん、何か違った。口では説明しづらいんだけど」
「そうですか……」
何かを考える素振りのモナちゃんに、前回『私には聞いてくれないんですか』と、聞かれたのを思い出した。
「モナちゃんは、前の彼氏とは……」
あれ、これ聞いていいもんか?と一瞬躊躇した。
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