vol.3

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「私、付き合ったこと、ないんです」 「へ?」 驚きすぎて、変な声が出てしまった。マジで? 「やっぱり、珍しいですか?」 「や、そうか。まだ21だもんな」 そりゃ、付き合ったことのない子はいるだろうけど、モナちゃんはそんな風に全然見えなかった。見た目も可愛いし、性格に問題がありそうでもない。……何で?って思う。その意外性に驚いた。 「あ、モテなかったわけじゃないですよ?」 と、拗ねたような表情を向けてくるので 「はは、うん。モテそうだよね、普通に」 と、つい言ってしまった。 「……普通。はい、まあ。うまくいかなくて。好きな人には振り向いて貰えず、好きじゃない人には好かれるって感じ、です」 「あー、あるある。あるね。俺もそんな感じ」 モナちゃんは、ハッしてまた俯くと、ちょいちょいっと前髪を流してる方向へ撫で付けた。そして、唇を尖らせ、明後日の方向を見ながら言った。 「別に、褒めて貰えるとか、そんな厚かましいことは思ってませんでした。でも、どっちも変わらないって言われると……ちょっと傷つきます。伸之さんにとっては興味の対象じゃないんでしょうけど。この前とは違って、今日は伸之さんに会うから頑張ったのに」 あ、さっきのか。可愛いって言ったけど素直に受け取ってはもらえなかった。
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