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俺……で、いいのか?
って、何……を、考えた?俺は、今、何を?
モナちゃんのグラスがカランと氷の溶けた音を鳴らす。ハッとして顔を上げると、そこにはまだ赤いモナちゃんの顔があって……視線が絡まった。少し惚けたような、期待を孕んだ目だった。
「……俺、で、いい?」
モナちゃんがコクンと頷いた。
「はは」
何でか、ほっとして笑っていた。モナちゃんも恥ずかしそうに笑っていた。
「旨いね、串カツ」
「ね、美味しいですね」
俺まで付き合うの初めてですかっていう初々しいというか、こっぱずかしくなるような空気が流れた。
食事が終わる頃には、二人ともやけに疲れていて、今日のところは帰ろうかとなった。駅まで送ると、改札へと背を向けたモナちゃんに笑顔を向けて手を振った。早く一人になりたいようなほっとした心境だったが、くるり向き直り、たたっと俺に駆け寄ると
「あの、ありがとうございました。私、伸之さんに好きになって貰えるように頑張ります!」
と言ってまた、たたっと改札に消えて行った。
顔に一気に熱が集まって、握りしめた手を口元当てた。「んんっ」と咳払いをして緩んでしまう顔をなんとか誤魔化す。
かっ、かっっわいい。
今の顔……ぐっとこない男がいるだろうか。結局、俺は緩んだ顔を誤魔化せずに、スマホを取り出してコールした。一人で笑っていても不自然じゃないように。
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